2Nov

利益計算においても、税額計算においても、その対象となる「期間」を明らかにすることは、とても重要です。いつからいつまでの期間の計算なのかが曖昧だと、同一の事業者においても前後の期間の利益を比較できないし、同業他社との比較もできないですよね。
ということで、今回は、前提となる「期間」の名称について、会社法・法人税法・消費税法の規定をそれぞれ横断して見てみたいと思います。
まず、会社法の規定では、次のようになっています。
(各事業年度に係る計算書類)
各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。(法59条②)
平たくいえば、計算対象期間は、当事業年度の期首から期末までの期間で1年を超えることができません。ただし、事業年度の末日を変更する場合は、1年6ヶ月まで認めます、ということです。
つまり、3月決算法人は通常その事業年度は4/1~3/31となりますが、決算日を9月末日に変更した場合には、その事業年度は4/1~翌年9/30となってもOKなのです。
次に、法人税法の規定を見てみましょう。
(事業年度の意義)
この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄付行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次の項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。(法13条①)
法人税法で規定されている事業年度は1年なのです。
さらに、消費税法の規定を見てみましょう。
(課税期間)
個人事業者 一月一日から十二月三十一日までの期間
法人 事業年度 (法19条①)
消費税法で規定されている課税期間は、法人の場合「事業年度」とされています。
つまり、消費税法の受験勉強において「課税期間」を考えるときは、個人事業者は暦年、法人は法人税法上の事業年度をチェックすればいいことになります。これは、消費税法の納税義務の判定の際に、とても重要な知識になりますので、今のうちから意識しておきましょう。